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“ゼロ円ビジネス”への挑戦 メインソリューション


ITmedia エンタープライズ 4月27日(金)12時31分配信

「田中克己の『ニッポンのIT企業』」 バックナンバー一覧

 「フリーミアム」。この言葉が登場してから6年が経った。フリーミアムとは、「フリー(無料)」と「プレミアム(割増料金)」を足し合わせた造語で、顧客に基本となるサービスや商品を無償提供し、それを引き金に課金する高度な機能を使用させるビジネスモデルだ。基幹業務ソフトに、この仕組みを適用するIT企業が現れた。

●売ったら終わり、では通用しない

 大阪市に本社をかまえるメインソリューションは、2009年から中小企業に財務会計や給与計算、販売管理、グループウェアのソフトを無償で提供している。同社WebサイトからのダウンロードとCD-Rによる配布を合わせて、利用者は2012年3月時点で2000人ほどになったという。田村勇二代表取締役は“ゼロ円ビジネス”と呼び、4つの機能をベースに展開する新しいビジネスモデルを築こうとしている。

 背景には、ITビジネスの変革がある。古典的なシステム販売が次第に通用しなくなり、販売会社はじり貧傾向にある。最大の問題は、中小企業がIT活用によって売り上げや利益を伸ばすといった効果を得られなくなっている点にある。その結果、IT投資が削減されてしまう。

 販売する側がハードやソフトなどを「売ったら、終わり」という考え方にも問題がある。田村氏はそうした経験から、「世の中に役立たなければ、その会社の必要性はなくなる」と痛感した。同時に、事業構造をフロー型からストック型に切り替え、安定して収益を確保できる経営を目指した。

 1956年生まれの田村氏は、1984年にOA機器販売会社「メディアビジネス・ネットワーク」を立ち上げた。1日に約200件の飛び込みセールスを敢行するなどし、営業ノウハウと販売代理店の運営ノウハウを蓄積する。中小企業の経営者との関係も深めた。業績は順調に推移し、売上高13億円超、社員100人超の規模に達した時期があったという。上場も視野に入った。

 ところが、「上場に向けた管理体制の強化に不安を持った営業部門と技術部門のコアの人材が離職、独立した」(田村氏)。顧客は減少し、資金繰りも悪化する事態になったという。田村氏は事業を整理し、2006年に営業部門を分割する形でメインソリューションを新設。前進会社の顧客へのサポートやシステムのリプレイスなどを行いながら、「中小企業を知っているIT企業こそが市場でリーダーシップを握れる」(田村氏)とチャンスをうかがっていた。

 社運を賭けたのが“ゼロ円ビジネス”だ。そのために新会社を設立して、前進会社が開発した会計や販売、給与ソフトのノウハウを生かす形態にした。所帯を約12人という小規模にもした。過去のユーザー資産があれば、それに縛られてしまうからだ。もちろん、無償にするからといって、機能が貧弱だったら、誰も使わなくなる。「安物買いの銭失い」とユーザーから思われたらおしまいだ。

 だからこそ、中小企業の経営に必要なモノ(販売管理)、カネ(財務会計)、人(給与計算)、情報(グループウェア)の4つの機能を揃え、「数百万円する有力財務会計ソフトベンダーと同じような品質レベルにした」(同)。バージョンアップも無料である。

●企業のビジネスインフラを作れ!

 では、メインソリューションはどこから収益を得るのだろうか。当面はシステムの保守契約やカスタマイズ構築が中心になる。保守には、ビジネス会員(月額3500円で、電話によるサポート)とプレミアム会員(同7500円で、出張訪問まで対応)の2モデルを用意する。サプライ用品販売やLAN対応版からの収入も見込んでいる。LAN対応は15クライアントで25万円、50クライアントで40万円と、「有力ベンダーの10分の1以下の価格」(田村氏)に設定した。

 「なんだ」と言われそうだが、実はその先がある。PCにインストールした基幹業務ソフトを使う場合、メインソリューションが開発したポータルサイトから財務会計や給与計算などを選択し、利用する。そのポータルサイトのメニューに、例えば、自動車リースや文房具など中小企業の業務に必要なものを調達できる仕組みにした。そこに登録した企業やポータルサイトに広告出稿した企業からの収入も期待している。

 これで終わりではない。メインソリューションは、利用者とポータルサイトに参画する企業を増やし、基幹業務ソフトをビジネスインフラに発展させることを狙っている。複数の企業がこのビジネスインフラを使って受発注などを行う。企業同士を結び付ける商談の場やマッチングサイトにもなる。新しいビジネスを始める際、必要な機能を外部から容易に調達もできる。例えば、海外進出にあたって、マニュアルの翻訳が必要になれば、参画する翻訳会社に依頼するといった感覚だ。「1人1人が専用オフィスのように使える」(田村氏)ようなプラットフォームを目指している。

 その実現には、ゼロ円ソフトの利用者を増やす必要がある。多くなければ、最終的なモデルにはなれない。田村氏は1万、10万、100万へとユーザーを拡大させることを考えている。現状の約2000という数字は、期待したほどの効果が出るまでにはなっていないようだ。田村氏は「商品としての自信はあるが、当社には資金力がないし、ネームバリューもない。信用もされていないので、なかなか広がらない」と嘆く。

 目下のところの策は、全国に販売代理店を設けること。事務機器販売会社や税理士などに呼び掛けて、PCとプリンタの操作方法指導などを含めて月額9200円の料金で、中小企業に提案してもらっている。DM(ダイレクトメール)やセミナーの開催、Webマーケティングの展開など、「コツコツと増やす」(田村氏)作戦である。

一期一会

 「過去のビジネスモデルを壊し、新しいビジネスモデルを創造する」。田村氏がメインソリューションを設立し、ゼロ円ビジネスの事業を始めた最大の理由だ。26歳でIT業界に入った田村氏は、古典的なシステム販売に疑問を持ち始めていた。3文字アルファベットを駆使して、機能の素晴らしさを説明するが、投資に見合う効果が小さい。役立たないシステム、埃をかぶったシステムになってしまうこともある。だから、請求書発行のためだけにしかITを使っていない中小企業も少なくないという。

 しかし、彼らはIT活用に関心を失ったわけではない。ITに強い若手の経営者も増えている。コストを抑えて、効果的な活用法を求める経営者もいる。そうした経営者に、無償提供は基幹業務ソフトをベースにするビジネスインフラのメリットを理解してもらう入口になるだろう。しかし、ユーザーが増えなければ、描いたビジネスモデルに到達できない。機能強化し続けなければ、顧客も離れてしまう。人を増やさず、その2つの課題を解決する策を一日も早く見つけ出す必要があるだろう。[田中克己(IT産業ウオッチャー),ITmedia].

最終更新:4月27日(金)12時31分

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この“ゼロ円ビジネス”はとてもおもしろい発想である。
こんなんでお金になるの?!と思ったが、これは双方どころか多角的に発展できる良いビジネスモデルだと感じた。
ユーザーを増加させることが課題であるが、規模がもっと大きくなった姿を見てみたい。

By MT
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Date: 2012.04.30 Category: 未分類  Comments (0) Trackbacks (0)

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